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    きーさん 添乗員日記
 
 
北陸中日新聞
      に掲載中
過去の記事
  ベトナムは今<1>
初添乗のころ<2>
長江横断遠泳大会<3>
ワインのお返し<4>
夫婦円満旅行の誕生<5>
沈まぬ太陽<6>
キーウエストの神風<7>
五番街ティファニー<8>
『ルンビニー園』<9>
機長と社長<10>
海の都で<11>
動物漫才<12>
ロードサイド店<13>
危機一髪?<14>
新入り操縦士<15>
スキーツアー企画<16>
『ほのぼの旅行』<17>
出向を命ず<18>
ハイジャックに<19>
シンデレラ城<20>
休息とお祭りの島<21>
・国際結婚<22>
ハイティー<23>
オリンピック<24>
買い物<25>
アスワンでの母娘<26>
ルクソールの休日<27>
大失敗の巻き<28>
自由行動日<29>
香港に始まって<30>



 

国際結婚

香港島にあるホテルビクトリア(海港飯店)の1階ロビー。
1992年(平成4年)10月、北陸の薬品会社の添乗だった。

団体の幹事と行程の打ち合わせを行っていた時、
「北河さん、お早うございます。」
小柄でめがねをかけた青年が声をかけてきた。
一瞬、誰かと思ったが、何度か香港でお世話になった
JTB専属の香港ガイドLさんだった。

「あなたの会社のOさんはお元気ですか?
私は今、彼女と手紙の交換をしています。」
「彼女は今度いつごろ香港に来ますか?」


自分のいいたいことを矢継ぎ早に発した。
私が香港に来ている事を聞いて、
慌てて飛んできた様子らしく、
 
「Oさんによろしく。私は他のホテルにいる団体のガイド
にこれから行きます。」

あっけにとられている私を尻目に、ホテルを出て行った。

その後、1年ほど経って、
事務所でOさんが私に話があると言って来た。

「今度、結婚したいと思っているのですが…」
とっさに香港での出来事が頭に浮かんだ。
「まさか、外国人ではないやろうね。」
「香港のLさんです。」

ご両親の顔が目に浮かんだ。
そして何度か香港への大型団体の添乗に連れて行った
私にも責任がある、と感じた。


早速に彼女には内緒で、
JTB香港支店の友人T君に彼の履歴と人柄等について
教えてほしいと連絡した。

私と付き合っている範囲での印象は、
廊下を曲がる時など、きびすを直角にして曲がるような
雰囲気を持った実直な感じを受けていた。
香港からのFAXも似たり寄ったりのものだった。

ただ、1997年香港の中国返還を目前にしての結婚に
一抹の不安を覚え、
その点について彼女と何度か話し合った。
彼女は彼を信頼し、目をきらきらさせながら将来を語った。

それから間もなくして、
彼女は小松空港発のチャーター便を利用して
香港へ旅立った。


国際結婚をして外国で日本人観光客のガイドをしている人に時々お目にかかる。
悩みは、遠いのでなかなか日本に里帰りできないとこぼす。それに比べ、香港は日本みたいなもの。

しばらくして、結婚のカードが送られて来た。
幸せそうなウェディングドレス姿を見て、
これで良かったのだ、としみじみと感じた。

彼女も香港の旅行業界に身を置いて、
日本への視察旅行の添乗員に活躍している様子だ。

私は、それ以来香港へ行く機会はないが、
返還後の香港を観光するツアーが旅行業界では
今、盛んに計画されている。
その時には、子供さんとご一緒のご夫婦に会いたい、
と思っている。

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