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「トップ・オブザ・ワールド」
ニューヨークは見本市見学の添乗などで度々訪れた
刺激的で好きな街です。
ある見本市見学ツアーでファイナンシャルセンターにある北國銀行のニューヨーク出張所を訪問したことがあります。
所長をしておられた安宅建樹さん(現頭取)から
団員に米国の経済事情を親切に説明していただいた後、
隣のワールド・トレードセンタービル102階にあるレストラン
『トップ・オブザ・ワールド』へ昼食のためエレベーターに乗りました。
団員のほぼ全員が
「エレベーターは速いけど、えらく軽い感じがする。
ビル全体が揺れているようだ。安普請でないかいや。」
ニューヨークの街並みを見下ろしながらの食事が終了する頃、
恰幅のいいウエイトレスが。
「こっちへ来い!」
とウインクし、私に腕組みをして店の奥へ引っ張っていきました。
180センチ、100キロはありそうな女丈夫と
160センチ足らずの私…
足が地に着いていないブラ下がり状態でした。
そして小さな窓から
「自由の女神が見えるだろう。」
と頬を寄せてにっこり。
霞んでよく見えなかったのですが、
「はい、はい」
と生返事をしました。
ウエイトレスは食事が終わって別れ際、
何ともいえない人懐っこい笑顔で見送ってくれました。
それから10年後の平成13年9月11日。
この2つのビルに二機の旅客機が突入。
多くの人々が犠牲になり、2つのビルが倒壊しました。
世界を震撼させたテロが発生したのです。
ツアー参加者もあの快活にサービスしてくれたウエイトレスの笑顔や当時の様子などを思い出し、他人事で済まされないと感じているに違いありません。
今ビルの跡地は、
『グランドワン』と呼ばれ再開発が進んでいる様子ですが、
テロ以降、アメリカ入国の際の指紋や写真撮影、機内持ち込み手荷物の制限等厳しくなりました。
旅行が『平和産業』であるということを改めて感じ、
業界もしばらく冬の時代を感じさせられたこの状況下で旅行店舗をオープンさせたのです。
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