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「おくんち」と鯛茶漬け
「唐津くんち」の見学ツアーの下見に行った時のこと。
その日は唐津焼の陶芸家西岡小十さんの「小次郎窯」を訪れた後、呼子の旅館金丸に宿泊しました。
翌朝
「朝食の準備が出来ました。」
の声に部屋に行ってみると、テーブルの上に大きな丼が並んでいるだけの殺風景な雰囲気。
しばらくすると、『やかん』そして『おひつ』最後に鯛の切り身が運ばれてきました。
醤油をベースにお酒・みりんを加えたこの旅館オリジナルのたれに切り身をまぶして、あつあつのご飯にのせて上から熱いお茶を注ぐ
「さぁ、お召し上がりください。」
全員が待ってましたとばかりに丼に飛びついて、1・2分で最初の一杯を平らげました。
ふと見ると、一合枡が各人の前に置かれてあり、白身の魚と奈良漬を昆布であえたものが入っている。
「海のお新香です。」
これもあっという間に無くなりました。
今から30年程前のこの経験は、当時は物見遊山の観光旅行が始まったばかりで、味覚にまで気を遣うことが少なかった時代に、
萬歳楽の小堀甚九郎会長から唐津にお祭りとおいしいものがあるとのお誘いを受けて実施したものです。
この間久しぶりに旅館に電話を入れると家付きの娘で後を継いだ女主人が、
「今も当時のままでサービスを続けています。
鯛茶漬けや海のお新香のどちらも大人気です。」
と元気に明るく返してくれました。
不況で観光業界はどこも厳しい状況の中、
味を守り特色を出して経営していることが嬉しくこちらも頑張らなければと力をいただきました。
その後、この度でもう1つすごい味覚に出会うことになるのです。
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