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『ルンビニー園』
インド仏教の四大聖地の1つである釈尊生誕の地、
ルンビニーはインド北部の国境からバスで30分ほどのネパール領にある。
1993年(平成5年)2月、
宗教関係の団体の仏跡めぐりに添乗した。
国境でネパールの入国ビザを取得し、そのルンビニーに入ったのは午後3時過ぎだった。
生誕地の根拠となったとなったアソーカ王の石柱や、釈尊の母・マーヤ夫人をまつる御堂のほか目立つ建物もなく、のどかな平原のたたずまい。
子供のころ遊んだ田舎の自然な風景を思い出して全員が懐かしい気分にひたった。

宿泊は日系の法華クラブ。
平屋造りで、周りの風景に気を遣い、ロッヂ風のホテルだ。
久しぶりに和食での夕食後、団員と中庭に出た。
夜のとばりがおり、
あたり一面もやが立ちこめている。
物音一つしない静けさ。
ガーデンライトも、もやにかすみ、
月はおぼろげに空に浮かんでいた。
そして、ひんやりとした空気が肌に何ともいえない。
幻想的な雰囲気に、われわれを包んでくれた。
平家物語の書き出しの
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・・』
で有名な祇園精舎は、
ネパール国境に近いインド北部のサヘートマヘート市の郊外にある四大聖地のひとつ。
ルンビニーを後に、一行は祇園精舎に向かった。
インドはカースト制度で身分が分かれている。
例えば、
観光バスはほとんどが板バネのクッションで、30人の団員の荷物は屋根に乗せて走る。
そこで、運転手のほかにアシスタントが乗車する。
このアシスタントは、荷物を屋根にしっかり据える役のほか、走行中には運転手の横に乗り、タバコをサービスしたりする運転手のおかかえアシスタントだ。
現地ガイドの話では、アシスタントは運転手になれない身分だという。
1週間この観光バスに付き合ったが、最初はこの関係に団員は違和感を持ったが次第になれていった。
別れる日に、親分の運転手に多少のチップを渡したが、子分も恩恵に俗しただろうか。
祇園精舎は、土地の有力者が釈尊に提供したといわれる場所で、雨季の間にしばしばお祈りに使用したといわれる。
樹木も多く、ところどころに館(やかた)が発掘され、今でも念仏を唱え、修行する人々の後が絶えない。
近年、日本から寄贈された『祇園精舎の鐘』が建立されている。
インドは、自然のままがなぜか懐かしく感じられ、エコロジーや信仰心といった面からも人気のある旅行先となってきている。
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